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Butの魔法

できることなら断りたいけれども、断りにくい状況というのはあるものです。
そんなときに使えるテクニックをお教えします。

例えば「午後の会議に出てくれ。」と、上司から言われたとします。
あなたはとっても忙しいのですが この上司はちょっとでも口答えするとカンカンに怒る人で、無条件に命令を聞かなくてはいけないような状況だったとしましょう。
ぜひ次のように言ってみてください。

「分かりました。でも(But)まずは明日の企画書を仕上げてからにします。」

このように言うと上司の潜在意識はなんとなく「ああ、忙しそうだな。じゃあ田中君に出てもらうからいいや。」と言ってしまいやすくなるのです。
これは、Butという逆接の接続詞の特別な作用によるものです。
「でも」「しかし」「ですが」というButには、「その前にくるフレーズを打ち消し、その後にくるフレーズを強調する」というふうに作用するのです。

だから今の例でも、「分かりました、でも(But)~」で、Butの前の「分かりました」が打ち消されて、「でも(But)まずは明日の企画書を~」で、「明日の企画書で忙しい」という印象がさり気なく強調されるのです。
もし、「忙しくて会議なんか出られません」と言ったなら、上司は怒るでしょうけれど、Butを使うことで、なんとなく「あぁ、こいつは忙しそうだな」と感じさせることができます。
だから頑なな上司も、「田中君に頼もうか」というふうに考えやすいのです。

この場合、結果的に上司の潜在意識に伝わるメッセージとしては、「これを終わらせないといけないから、会議には出られません」ということになります。
そういうことを暗示する文章なのです。
しかし、意識レベルでは「分かりました。これを終わらせてから会議に出ます。」というまったく申し分のないメッセージに聞こえるのです。

Butの作用があまりピンとこないという方は、たとえば次の2つのフレーズをそれぞれ感情を込めて口に出してみてください。

A:「出世もしたいけれど(But)、趣味の時間も大切にしたいなぁ。」

B:「趣味の時間も大切にしたいけれど(But)、出世もしたいなぁ。」

AとBの文章では口にした後の感情が、明らかに異なるはずです。
情報としては「出世したい」「趣味の時間を大切にしたい」という2つの同じ重みを持つ要素があるだけです。
しかしそれぞれがButの前にあるか後にあるかで、印象がまったく逆になってしまいます。

結果として、Aの文章を口にすると仕事へのヤル気が失せてしまいます。
Bの文章を口にすると、仕事へのヤル気が出てきます。

意識ではなくて潜在意識に対してそういう「間接暗示」を与えることになるからです。



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